大切にお参りしてきても、いつの間にかついてしまうお墓の汚れ。
お墓の汚れの正体から、日ごろのお手入れ、プロに依頼する墓石クリーニングの詳細・費用・業者の選び方を解説します。
そもそも墓石はなぜ汚れてしまうの?
ポイント1:プロの墓石クリーニングとは
ポイント2:墓石クリーニング 料金・費用の計算方法
ポイント3:墓石クリーニング 業者の選び方
【そもそも墓石はなぜ汚れてしまう?】
■お墓の汚れの種類と場所
お墓が汚れたと感じる要因は、「日々の汚れの蓄積」と「経年変化」「着色塗料の剥がれ」の三つに分かれます。
「日々の汚れの蓄積」
ほこりや花粉など空気中にある細かな物質がお墓に蓄積し、雨や梅雨などで水がたまりやすい場所に集まり、いつの間にか蓄積されます。「水垢」と呼ばれ、時間が経つほどに落としにくくなっていきます。
また、お供えのジュースやお酒がこぼれたり、枯葉や鳥のフンがつくことででできた「シミ」は、一度出来てしまうと日々のお手入れでは落とすことが難しくなります。
「経年変化」
石材は年月の経過とともに表面の鏡面加工が劣化したり、日に焼けて変色していきます。経年変化で生じる日焼けは自然におこるもので対策は必要ありませんが、日焼けと水垢の関係には注意が必要です。水垢が溜まった部分は日に焼けないため変色せず、水垢が溜まっていない部分は日に焼けて変色していきます。そのため、クリーニングなどで汚れを落とすと、日に焼けた部分と焼けていない部分に色の差が生じてしまいます。こまめにお掃除をするか、定期的にクリーニングし、水垢をためないよう注意するのがおすすめです。
【着色塗料の剥がれ】
お墓の彫刻部分には、文字や模様がはっきりと見えるように白や黒、赤などの塗料で色を塗ってあることがあります。この塗料が時間の経過とともに剥がれたり、塗料の上に汚れがたまることで色がはっきりと見えなくなると、お墓が汚れたような印象を受けてしまいます。
よくある質問1:日頃のお墓掃除では足りない?
たくさんのお客様からお話を伺うと、お墓を建ててから10年以上経っているのに墓石に汚れがついていない場合、お参りの頻度は週に1回以上という方がほとんどです。頻繁にお参りに行き、水垢などの汚れを「亀の子たわし」などで洗い落とすことで、日々の汚れの蓄積は防ぐことができます。とはいえ、ほとんどの方がそれほど頻繁にはお参りにいけないかと思います。なので、汚れがついてしまうのは半ば仕方がないことだと思います。
着色塗料の剥がれは、墓石が吸収した雨などの水分を蒸発させる際に徐々に接着が弱くなり浮き上がり、最終的にはがれてしまうので、日々のお掃除では防ぐことが難しく、逆にこまめにお掃除している方が塗料の落ちが早い場合もあります。
よくある質問2:墓石クリーニングは自分でできる?
最近はホームセンターなどで墓石用のクリーナーも販売されていますが、一言に墓石と言っても石の種類や石の表面の状況によって使う器具や薬剤は異なります。蓄積した「水垢」や、墓石に染み込んだ「シミ」は、汚れの種類に応じて専用の器具や薬剤を使用して落とします。取替のできるものであればご自分で試してみるのも良いと思いますが、薬剤によっては石に染み込み変色の原因となるものもあります。大切な墓石をきれいにしようと頑張ったのに、逆に傷をつけてしまったり汚れをつけてしまっては取り返しがつきません。薬剤や器具を使う「水垢」や「シミ」の対策はご自分で判断せず、ご家族と良く相談されて上で行うか、プロにお任せいただくことをお勧めします。
※苔など、墓石表面についた汚れは高圧洗浄で落とすことが可能です。
墓石クリーニングで後悔しない!
3つのポイント
施工内容・費用・業者選び
【プロの墓石クリーニングとは】
■墓石クリーニングで使う道具
墓石汚れの種類や位置により、高圧洗浄・薬品洗浄・器材での汚れ落としなど、様々な道具を用いてクリーニングを行います。
■墓石クリーニングの仕上げコーティング
クリーニングが完了して綺麗になった墓石も、そのままにしておいては、また水垢やシミ等のつきやすい環境にさらされてしまいます。仕上げに墓石専用のコーティング加工を行うことで、石材の艶が蘇り見た目がよくなるだけでなく、墓石が水をはじくようになり、汚れの蓄積を防ぐことができます。
コーティング剤も市販で販売されていますが、歴史の浅いコーティング剤は塗ってから何十年と経過した時に石に影響を与えない保証がありません。また、コーティング剤は揮発性の高いものもあり、安易に使用すると大変危険です。コーティングに関しては特に、プロにお任せいただくことをお勧めします。
よくある質問3:墓石クリーニングはどれだけ綺麗になる?
墓石のクリーニングの施工後のお客様からの評価は、ほぼ皆様「こんなに綺麗になるとは思ってなかった」と喜んでいただけます。百聞は一見にしかず。実際の施工事例やお客様からいただいた施工後のアンケートをご覧ください。
よくある質問4:墓石クリーニングで落ちない汚れはあるの?
結論:あります。
理由:石には「細孔」と呼ばれる、ごく小さな隙間があり、水を吸ったり蒸発させたりしています。この隙間は石の表面のみでなく奥深くも含めた全体にあるため、墓石の内部に深く浸透したシミ等の汚れはクリーニングをしてもうっすらとのこる場合があります。(石材の深くまで浸透する薬剤もありますが、石への影響を考えると使用を控えたいとの思いもあります。)また、汚れではありませんが、経年変化による日焼けの差(日に焼けた部分と焼けていない部分)が、汚れを落とすことでうっすらと見えてくる場合もあります。
【墓石クリーニング 料金・費用の計算方法】
墓石のクリーニングの費用は、クリーニングする墓石の大きさ、お墓を建ててから何年たったか、墓石本体以外のクリーニング範囲、彫刻文字や模様の塗料を入れ直すかどうかによって変わります。
■クリーニングするお墓の大きさ
お墓の大きさは「寸(すん)」や「尺(しゃく)」で表現されることが多く、「棹石」と呼ばれるお墓の一番上の石の大きさ(幅)によってサイズが分かれています。
・8寸:一般的な大きさ:棹石の幅が約24cm(23cm以上~26cm未満)
・9寸:少し大きめのお墓:約27cm(26cm以上~30cm未満)
・尺角:大きめのお墓:約30cm(30cm以上~33cm未満)
■墓石本体以外のクリーニング範囲
お墓は墓石本体以外に、お墓の敷地を囲う「巻石(まきいし)」や「外柵(がいさく)」と呼ばれる石材、お参りがしやすいように墓石の手前に敷く「拝石(はいせき)」と呼ばれる板状の石、階段、灯篭、荷物置き、ベンチなどからできています。
一般的にお墓本体のクリーニングの費用と、本体以外のクリーニングの費用は別となっていることが多く、墓石本体以外のクリーニング費用には規定の料金はなくお墓を確認してから見積を出してもらうことがほとんどです。
■お墓の塗料の入れ直し
お墓の彫刻文字や模様に塗られている塗料の入れ直しを依頼する場合は、おおよそ2万円前後の追加料金が必要となります。クリーニングは費用が高くて手が届かない、という場合は、お墓の塗料の色の直しだけでも施工されると、お墓の見栄えが大きく改善されます。
もしご自分で施工される場合は、油性の塗料を選ぶこと、なるべく薄く均等に塗ることを心がけてください。(水性の塗料は、溶けた塗料が彫刻部分以外の石に染み込みかえって見栄えが悪くなることがあります。)(塗料を厚く塗ると見栄えが悪いのみでなく、石材の内部から押し出す水蒸気の力で塗装が大きく剥がれる場合があります。)
【墓石クリーニング 業者の選び方】
■墓石クリーニングの経験と実績
墓石クリーニングの仕上がりの差を生むのは、なんといっても経験や実績の数が一番です。墓石に使われる石材の種類は無数にあり、例え同じ石材でも置かれていた環境や年月の違いで経年変化や汚れの種類も様々です。千差万別の墓石の状況を見極め、適切な器材と薬剤を選び施工するには、実績の数が生み出す経験値の差が大きく反映されます。また、仕上がりの差は同時に、施工後の綺麗が長持ちする期間にも大きく影響を与えます。
■墓石クリーニングの施工写真・お客様の評価
実際に施工された写真やお客様からの評価も大きな判断材料になるでしょう。最近は副業で、お墓の清掃代行やクリーニングをおこなう会社や個人も多いですが、素人まがいの施工業者に依頼をして、大切なお墓に万が一のことがあっては取り返しがつきません。今までの実績を写真で確認して仕上がりが納得のいくものかどうか、依頼をしたお客様からの評判はどうなのか、確認をすることも大切です。
■墓石クリーニング後のコーティング
せっかく綺麗になったお墓は、その後もできるだけ長く綺麗であって欲しいものです。墓石のコーティングは業者によって取り扱いの有無が異なりますが、墓石を保護する意味でも、汚れの付着を予防する意味でも、墓石コーティングは依頼できると良いでしょう。
■お墓を建てることができるか
お墓を建てることができる業者は、お墓がどのように作られているか、どのような石材が使われているかを理解しています。ただ綺麗にするだけでなく、他に必要なメンテナンスを提案してくれたり、軽微なものであればサービスで行ってくれることもあるでしょう。
【墓石クリーニングの詳細・費用・業者の選び方 まとめ】
お墓参りに行く回数は年に数回、多くても月に1回程度の方が多いのではないでしょうか。お参りのたびにお掃除をしていても、いつの間にかついてしまう汚れや、塗料の剥がれなどは、経験がないと綺麗にするのは難しいものです。
業者に依頼する場合は、費用や施工内をしっかりチェックし、実績や評判を確認してから依頼すると、お墓が見違えるほど綺麗になり、心安らかにお参りできることでしょう。
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