良いことと思ってお墓じまいを検討されながらも、ご相談の末、今あるお墓を守り続けることにされるお客様も数多くいらっしゃいます。そこで、お墓じまいをした方が良いケース。今あるお墓をそのまま残された方が良いケースを、事例を交えて考えてみたいと思います。
まず、皆様がお墓じまいを検討されるとき、どのような理由からお墓じまいを考えられるかを挙げてみます。
A:子供に負担をかけたくない。子供がお墓をみてくれるとは思えない。
B:お墓をもっていると、お金がかかる。
C:お墓を管理してくれているお寺様と相性が合わない。お寺様との付合いが煩わしい。
D:将来、お墓を見てくれる子供がいない。子供はいるけれど、お嫁にいっていたり、遠くに住んでいる。
E:お墓が遠くにあってお墓参りが大変。
私が個人的に、お墓じまいがお薦めだと感じるのはDとEのケースです。
お子様や親族にお墓守をできる人がいない場合、将来お墓が無縁墓になる場合、これは是非、お墓じまいをご検討ください。
また、ご自分たちのお住まいからお墓が遠くて負担になる場合も、お墓じまいは検討の価値があると思います。
ほかのA・B・Cに関しては、場合によって、考えようによって、答えも様々だと思いますので、ひとつづつ見ていきたいと思います。
①お墓じまいをすると、子供に負担をかけないのか?
お墓守は大変→大変なことを子供に押し付けたくない。という考えから、お墓じまいを検討される親御様がいます。また、子供はいるけれども、とてもお墓の世話をしてくれると思えない。という方もいらっしゃいます。
逆にお子様側からは、ご両親がお墓じまいをしてしまったので、お墓を新しく建てる。というご相談をいただくこともあります。
うちの子はお墓参りなんてしたこともない、という場合でも、お子様も年齢を重ねるうちにお墓や供養事に関心を持たれることもあります。
草抜きが大変だったりもしますが、草の生えない施工をすることも可能です。
一度、お子様のご意見も聞かれることをお薦めします。
②お墓じまいをすると、お金を節約できるのか?
従来の日本のお墓は「〇〇家之墓」となっていることがほとんどで、お墓がひとつあれば、ご家族だれでもそのお墓に入ることができます。最近では親戚や娘の旦那さん一家と一つのお墓を持つというケースもあります。
対して、樹木葬や海洋散骨、永代供養墓などは、おひとりごとやご夫婦ごとに契約が必要なケースも多く、お悔やみごとがあるたびに、この人はどうやって供養する?と考える必要があったり、人数分の管理費が必要なケースもあります。
市営の霊苑などは、年間管理費が数千円程度と安く押さえられているケースも多く、お墓じまいに数十万かけるより、お墓参りがしやすいようにお墓をリフォームしても持ち続けた方が費用的にも安く済む場合もあります。
③お墓じまいをすると、煩わしいお付き合いがなくなるのか?
お墓じまいをするとお寺様との付合いがなくなってわずらわしさから解放される。と考えられる方もいて、現に、お寺様と相性が良くないからお墓を仕舞いたい、とのご相談をいただくこともあります。
最近相談をいただいたケースでは、相性の良くないご住職とは現状でもぎくしゃくしているらしく、お墓じまいの話をしてもスムーズに運ばないことは容易に想像できました。ご相談者様には息子さんがいてお墓守には困らないとのことでしたので、大変恐縮ながら、ご住職が高齢とのことを考えると次の代のご住職と上手くお付き合いできれば問題ないとの話に落ち着きました。
ご住職様と相性が良くないとお付き合いも煩わしいでしょうが、最近のお寺様は人柄もとても素晴らしく勤勉でためになる話を聞かせていただける方も多いものです。坊主丸儲け、というのは昔のはなし。いざという時にたよりにできるお寺様がいるのは心強いことですし、仏教には生きるためのヒントがたくさん詰まっていと思います。
タイトルは少し大げさに、「お墓じまいの嘘・本当」としましたが、お墓じまいについてはご家族ごとに最適な答えが様々だと思います。一般的にいわれていることを鵜吞みにしないで、一度、「本当かな?」「これは我が家にも当てはまることかな?」と、検討していただくと良いと思います。
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