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お墓に名前を彫るとは? ~名入れ・戒名彫刻・追加彫り・現地彫刻 依頼方法、時期や流れ、費用について~

更新日:2021年10月20日

お墓に名前や戒名を彫る? お寺や親せきから、納骨前にお墓に名前を入れておくよう言われ、どうしたらよいか分からずに戸惑う方も多いと思います。お墓をイメージしても、どこに、どんなふうに、名前や戒名(かいみょう)・法名(ほうみょう)が彫ってあるのか、思い出せる方も少ないのではないでしょうか。

いざ、お墓に名前を彫る場面に遭遇した時のために、墓石に名前を彫る依頼の方法や、どこに頼めば良いか、名前を彫る時期や流れ、費用についてご案内します。


 


ポイント2:いつ頼めば良い?




【お墓に名前を彫るとは?】


■墓石のどこに名前を彫るのか

お墓は一般的に四角い形をしており、一番上に乗っている縦長の石(棹石・さおいし)の正面に家名(〇〇家之墓)や「南無阿弥陀仏」といった言葉を彫刻します。また、お墓の棹石の裏面にはそのお墓を建てた人の名前やお墓を建てた日付(建立年月日)を彫刻します。

亡くなってお墓におさめられている方のお名前は、まず墓石の棹石の右面に右側から彫刻し、右面がいっぱいになったら左面の右側から彫刻します。お墓本体の右面も左面もいっぱいになったら、お墓の横に「墓誌(ぼし)」あるいは「墓碑(ぼひ)」と呼ばれる板状の石を設置し、そちらにお名前を彫刻します。近年では、お墓本体にお名前を彫らずこちらの最初から墓誌に彫る場合もあります。


■お墓に名前を彫る意味

それでは、お墓にはどうして名前や戒名を彫るのでしょうか?

今のお墓は墓石の正面や花立部分に「〇〇家」と書かれていることから分かるように、家族で一つのお墓を継承する様式が主流となっています。ところが、江戸時代から明治時代にかけて、お墓は一人にひとつ、もしくは夫婦でひとつ、というのが一般的で、今よりもずっと小さな墓石を用いていました。そのため、お墓の正面にはお墓に埋葬されている人の戒名やお名前を彫刻していました。明治時代に入り家制度が定められてから、お墓は徐々に個人や夫婦のものから家のものとなり、正面に個人の名前を彫ることがなくなり、側面に刻むようになりました。

このように歴史的に考えるとお墓には名前や戒名が彫ってあって当たり前なのですが、お墓に名前が彫刻されていると、お子様やお孫さん、その先の子孫がお墓詣りに来た時に、自分の命はどのように受け継がれてきたのか、目で見て感じることもできるでしょう。また、石材はそこに彫られた文字を何百年と残すことができるため、一人の人間が生きてきた証(あかし)を残すという意味でも、とても意義深いことだと思います。


■お墓に名前を彫ることを何という?

では、「お墓に名前を彫る」こと、は何と言えばよいのでしょか。

「名入れ」「戒名彫り」「戒名彫刻」「法名彫り」「法号彫刻」「墓石への追加彫り」「現地彫刻」など、実に様々な呼ばれ方をしており、何と言っていただいても通じます。お電話でご依頼いただく時は、「お墓に名前を追加したいのだけど」と言ってお電話いただくことがほとんどです。



【ポイント1:戒名彫り・名入れ どこに、どうやって頼めば良い?】

■お墓の名入れ・戒名彫刻 どこに頼めば良い?

墓石に名前を追加してもらうとき、どこに頼めば良いのでしょうか。

一般的には石材店に依頼していただくと思いますが、お寺の墓地や民営の墓地だと指定の石材店が決まっていてほかの石材店が名入れなどの工事ができない場合があります。市営の霊園や地域で管理している墓地の場合は石材店の指定はありませんが、お寺の墓地の場合は、事前に寺院に連絡し、お墓に名前を彫刻したい旨を伝え、指定石材店があるかどうか確認いただくことをお勧めします。


■お墓の名入れ・戒名彫刻 どうやって頼めば良い?

では、石材店に名入れや戒名彫刻を依頼するとき、どのように頼めば良いでしょうか。最近はホームページから依頼できる石材店も増えていますが、お墓の名入れは故人が生きてきた証を大切なお墓に刻むことです。まずは電話や対面で問い合わせをして、ちゃんと施工や対応をしてくれそうな石材店かどうか、また、費用や納期がどれくらいかかるのかを確認してから依頼することをお勧めします。

お墓の確認は、霊園で石材店と待ち合わせて打合せをする場合、電話やメールで依頼すると石材店がお墓の確認をしてきてくれる場合の2パターンに分かれます。


■お墓の名入れ・戒名彫刻 依頼時に必要な情報


・霊園の場所

・霊園の中のお墓の場所

・何家のお墓か

・お墓を建てた人の名前や、すでにお墓に彫られている人の名前(わかる範囲で)

・今回お墓に名前を追加する人の情報

 「戒名・法名」

 「命日」

 「俗名(ぞくみょう・生前の名前)」

 「行年(ぎょうねん)・享年(きょうねん)・年齢」

・依頼主(自分)の名前、住所、連絡先

・希望の納期

・彫刻の前にお精抜き、魂抜きを行うかどうか

よくある質問1:戒名や法名をつけなかったんだけど。。

最近、お戒名や法名/法号をつけていないけど、お墓にどのように彫刻すればよいのか、といったお問合せが増えています。通常、既存の彫刻に合わせて構成や文字の大きさ、バランスを整え、今回、追加する人の戒名や法名・命日・俗名などを配置します。ところが、今まで彫ってある人の分は戒名や法名があるけど、今回、墓石に追加する方には戒名・法名がない場合、どうすればよいのでしょうか。
確実にこうしなければいけない、といった決まりはありませんが、私どもが担当させていただく場合は、前の方たちの「戒名・法名」にあたる箇所に、今回、墓石に追加する方のお名前をフルネームで記載する、という方法をご提案しています。お墓にお名前を彫る意義が、その方の生きてきた証を残すことにあるならば、戒名や法名のある、なし、に関わらず、お名前を彫刻することで、十分にその意義を果たすことができるのではないでしょうか。

よくある質問2:行年と享年ってどう違うの?

最近インターネットなどで、「行年は満年齢」「享年は数え年」との書き込みが増えていますが、「享年」「行年」共に仏教用語で、その数え方はお寺様や宗派によってさまざまです。行年を数え年で計算する寺院もありますし、生まれてから数えるのではなく、おなかに宿った時から(誕生日に十月十日を足して)計算するお寺様もありました。「行年」や「享年」とい考え方がそもそも仏教の考え方だととらえると、その数え方はお寺さんに確認するのが一番だと思います。
一般的に、葬儀の時にお寺様からいただく「年忌表・年回表(ねんきひょう・ねんかいひょう 法事を行う年を記載したもの)」や、白木のお位牌に行年や享年も記載されているので、お墓にもその年齢で記載するとよいと思います。とはいえ、最近は宗教的なことにこだわらず満年齢で記載する方も増えてきました。どのように記載するかはご家族でご相談いただき、ご意見をまとめていただいても問題はないと思います。



【ポイント2:戒名彫り・名入れ いつ頼めば良い?】


■お墓の名入れ 戒名彫り 依頼するタイミング

お墓への戒名彫刻は、いつまでに石材店に戒名彫刻を依頼すると、依頼から完成までに約3週間程度かかります。49日や一周忌、初盆や年内、など、いつまでに名前を追加したいという期日の希望がある場合は、期日の3週間前をめどに依頼すると確実です。とはいえ、依頼するのを忘れていても急ぎ対応してくれる石材店もありますので、電話などで相談するとよいでしょう。


よくある質問4:お墓の名入れ・戒名彫りは、納骨までにしておくべき?
「納骨までに名前を彫っておいたほうが良いか?」とのご相談があれば、「できれば納骨に間に合わすとよいでしょう。」とお答えしています。納骨は親族がお墓に集まる数少ない機会です。お墓にお骨を納骨しつつ、お墓に刻まれたお名前を皆様で確認していただくと、故人が「お墓に入ったね」と、実感していただくことができると思います。とはいえ、間に合わない場合は納骨後に彫刻してもいけないことはありません。可能なタイミングで、お墓にお名前を追加してください。

■お墓の名入れ 戒名彫り 依頼した後の流れ

墓石への戒名彫刻の流れは、お墓を工場に持ち帰る場合と、お墓を持ち帰らずに霊園で施工する場合(現場彫り・現地彫刻と呼びます)によって異なります。


■工場に持ち帰る場合

・お寺様にお精抜き・魂抜きを依頼します。

・(必要な場合は、霊園に工事申請を行います。)

・お墓の棹石、もしくは墓誌を工場に持ち帰ります。

・既存の戒名やお名前に合わせて、今回彫刻する方の分の彫刻原稿を作成します。

・彫刻原稿をお施主様に確認し、工場で彫刻の施工を行います。

・お墓の棹石、もしくは墓誌を霊園に戻します。

・お寺様にお精入れ・魂抜きを依頼します。


■現場彫り・現地彫刻の場合

・石材店が霊園に出向き、お墓の確認を行い、あわせて既存彫刻の拓本をとります。

・(必要な場合は霊園に工事申請を行います。)

・拓本を確認しながら既存の戒名やお名前に合わせて、今回彫刻する方の分の彫刻原稿を作成します。

・彫刻原稿をお施主様に確認し、墓地で彫刻の施工を行います。

(お精入れ・お精抜きをするかしないかは、お施主様やお寺の意向に従います。)



【ポイント3:戒名彫り・名入れ 費用や料金の相場】

■お墓の名入れ 追加彫り 費用や料金の相場

墓石への戒名彫刻の相場は、地域により異なりますが3万円~5万円程度です。


■お墓の名入れ 追加彫り 費用や料金の違い

費用の違いは、

・既存の彫刻に字体を一文字ずつ合わせることができるか、既存彫刻に似たフォントを用いるか。

・自社の職人が施工をするか、下請けの石材職人に発注するか。

・現地で施工をするか、墓石を工場の持ち帰るか。

などの要因で異なってきます。

また、石材店に支払う費用ではありませんが、お精抜きやお精入れが必要な場合は寺院に支払うお布施も必要になります。霊園によっては、工事を行う時に霊園に工事手数料(数千円程度)を支払う必要があることもあります。


【お墓への戒名彫り・名入れのポイント:まとめ】

お墓に名前を彫るときは、3週間程度かかるという前提で早めに石材店に依頼すると安心です。出来上がったものを購入するのとは異なり、お墓の彫刻は経験がなく、イメージが湧きづらく、わからないことも多いのが一般的です。とはいえ、大切なお墓に故人の生きてきた証を刻む大切な行為であり、失敗や後悔をしたくないものです。

だからこそ、気軽に安心して相談できる体制になっていること、店舗を構えて真摯にお客様と向き合う姿勢をとっていること、施工に対する責任が明確になっていること、などをポイントに、石材店を探すと良いと思います。

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